【認知症の在宅介護の実話】やるべき5つの準備

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あなたのご家族に介護が必要な時期が来た時の事、考えたことはありますか?
もう既に、誰かの介護を担っている方もいるかもしれませんね。
今回は、介護にまつわる筆者(フルタイム47才/夫55才・娘9才)の実体験をお伝えしようと思います。
私の場合は、夫の母を在宅介護をすることになったのが9年前、38才のころでした。ちょうど娘を出産して間もないころに、二世帯同居の義母の認知症が発覚したので、ドタバタとした介護スタートになってしまいました。
思えば介護は、子育てと違って自分の感覚でどうにかうまくできるような類の問題ではなく、知識がないせいで、知らずに損していた事の連続でした。。
あなたのご家族が介護を必要とする時がいつ来るのかは予測できません!予備知識は持っておいて絶対に損しないと思うので、ぜひ読み進めてみてください!

介護は何歳から始まる?

子育て真っ最中の介護はどうすればいい?

70代後半から80代となると介護が必要となる人が多いですが、早ければ60代からでも介護スタートする方もいらっしゃいます。
また、介護を行うのは同居の家族というケースが多数を占めていますので、実態として、介護を担うのは子育て真っ最中の30~40代というケースも増えています。

健康なはずのご両親も、骨折などの怪我や、ギックリ腰などが原因で思いがけず弱ってしまうことも考えられますから、年齢に関係なく、日常生活のお世話が必要になる事をチラリと頭の片隅に置いておくだけでも、変わってくると思います。

介護は突然に・・・

娘(0才)の頃、おむつ替えの手伝いをしてくれていた義母がその後10分のうちに3回もおむつを替えようとしていたので「認知症に違いない」と確信しました。これから子育てと仕事を両立して頑張ろう…とドタバタ復帰準備していたところだったので、新たに義母を認知外来の病院に連れていく負担も、薬の服用管理も手間がかかり、大きな生活変化に戸惑いました!

「施設を利用」するか「在宅介護」をするか

いくら大切なご両親だとしても、「施設を利用」するか「在宅介護」をするかで悩まれるのは当然ですよね?でもやはり「自分の両親だから、施設に頼らず自分で面倒を見たい」とお考えの方も多くいらっしゃると聞きます。私も9年近くそうでした。
たとえあなたが、ご両親と別居だとしても、実家に通ってお世話するのは、往復の時間も移動費用も掛かりますし「何時には行かなきゃいけない」という気持ちが、家事・育児の途中でも気になって落ち着かず疲れてしまいますよね。
どの方法で介護スタートするかは、あなたとご家族だけではなく、プロのアドバイスを聞くことが大切です。

「自分が頑張ればいい」の間違い!

義母は家が大好きな人なのでそれを尊重していました。
私が‟自分でお世話できる限りやろう”と決めて在宅介護を選んだのは、【嫁に来たのに「在宅介護」もしないで初めから「施設を利用」する】事は、義母や夫に何か悪い気がして気が引けてしまう考えを持っていたからです…。
ここがまず、私の失敗でした!この時点で介護のプロに依頼して、義母をもっと外に出す方法を考えていれば、認知症の進行をもっと遅くできたと今でも思っています。

介護の素人だと、生活のお世話はできても認知症は進むばかり

現在義母は83歳で、認知症の末期になって、やっと夫と話をして施設入所を決断しました。
ところが入所できる施設が満員です!
決断したのに受入れ可能な適切な場所がないという、いわゆる「施設難民」になってしまいました!

末期になってしまうと、家の中の生活導線がわからなくなってしまい、本人が自分ではどうして良いか立ちすくんで固まってしまうような状態です。トイレの場所はわかりますが、行くタイミングがわからず失敗します。
「それなら、リハビリパンツ(ショーツ型のおむつ)を履けばいいのでは?」と思いますよね?でもそれがなかなか難しいのです!
義母に「リハビリパンツを履いていれば安心だから履いて寝ようね」と話して納得してもらうのですが、その時だけです。いつの間にか、自分で以前のショーツに履き替えているので結局は濡らしてしまいます。その汚れた衣類を探すと見当たらない!・・・数日後、汚れの着いた下着やズボンが、新聞紙で丁寧に包まれきちんとタンスにしまってあるのを発見して(汗)…というような、お世話以外にも私がドキッとする事が増えて、精神的にドッと疲れてきてしまいました。
そんな折に新型コロナの蔓延も加わり、小学生の子育て、在宅仕事、在宅介護の3両立がキツく根を上げると今度は「施設難民」です。初動から失敗続きですよね。
認知症は、回復するということがありません。初めから適切な介護サービスを併用することで、本人に毎日、様々な刺激を与えられるので、進行が遅くなるメリットがあります。

家族の介護には限界がある?!

病院で処方された認知症の薬(ドネペジル10mg)、せん妄(幻覚)の薬(抑肝散)はMAXで服用していたのですが、どうしても、家族が家の中でお世話や声掛け・見守りをしているだけでは、あっという間に認知症は進んでしまうことを痛感しました!
住み慣れた家で、見慣れた景色しか見ず、家族としか話をしないと当然、刺激は足りません。
デイサービスにも通っていましたが、朝起きができなくなってしまい、行ったり行けなかったり。行かない理由はその時々違いましたが「ま、仕方ないか。出たくない日もあるんだ」と軽く考えていました。そんな日は昼間から夕方までずっと一人で留守番ですが、置いてきた昼食を食べていないことも多々ありました。
義母には古くからの友人とのお付き合いがあり、玄関の外で世間話をしたり、近くに連れだって散歩がてら銭湯へ行く事が度々あった事から、少しは交流があるため、デイに行けない日があっても安心していたのですが、実はこれだけでは脳への刺激は足りず、進行速度は早まってきてしまいました。

やっておけばよかったと実感した【5つの準備】

在宅介護を選んだ場合でも、知識やプロのアドバイスが必要です。様々なネットワークを駆使して、介護のサポートチームが動いてくれますよ!
また、後々ご自身の負担が軽くなる、今からできる準備がありますので5つの項目をチェックしてください。

1:介護の「協力者」をつくる

介護を1人の人間だけで行うことは、精神的にも身体的にもかなりの体力が必要となります。
精神的な疲労がたまってくるとイライラし「相手に優しくできなくなってしま」ことで「自己嫌悪」に陥り、頑張っているご自身を労わってあげられなくなり、リラックスできない状態が長期間続くために、共倒れになってしまいかねません。
家族で協力して時間や役割を分担する方法など、事前に決めておき協力者をつくっておくと良いです!いざその時が来たら再度、状況に応じて役割を変更すればいいので、気軽な話し合いをしておくだけでも準備の一つになると思います。
大切なのは、「介護」というワードを気軽に出せる間柄や、雰囲気作りができれば良いと思います。

2:「介護保険」の利用申請をする

在宅介護の際には、介護保険」を利用して、様々な介護支援サービスをぜひ活用してください!
ですが、介護支援サービスは自動的に受けることはできません!必ず最寄りの役所に申請が必要です。
「介護保険」の利用希望を伝え、要介護認定の申請を行います。
各自治体の「役所の介護保険の窓口」「地域包括支援センター」などに問い合わせてみましょう。

申請には必ず「介護保険被保険者証」が必要なので、どこにあるのかをチェックしておくと慌てないで済みます。
介護を受ける方の状態が良くなり、回復に向かうための手助けをしてくれる支援を、専門家がチームになって考えて実施の計画を立ててくれる有難い支援サービスです。
ご家族の負担が少なくなるような提案をプロがアドバイスしてくれるだけでなく、「もし〇〇になったらどうしたら良い?」という漠然とした不安や心配にも、きちんとした道標を与えてくれるので、あなたの心強い協力者になります。
40才以上の方は毎月介護保険料を払っているので、利用できるサービスは無いか聞いてみるだけでも良いと思います。「市区町村の介護保険の窓口」「地域包括支援センター」は福祉や介護に関わるさまざまな事柄を無料で相談することができます。介護を必要とする前からが絶対おすすめです!

結果はいつ出る?

認定結果が出るには、1ヶ月ほどかかります!
お世話が始まる前から準備しておくことで、困ってしまう期間は短くなります。
区分は、軽度←「要支援1、2/要介護1、2、3、4、5」→重度 となっています。
一番軽度な「要支援1」という認定が下りるのは、「排せつや食事などほぼ自分でできるが、要介護状態にならないために必要な見守りや手助けをすれば改善する見込みが高い方」です。
介護予防の観点から支援をしてもらえ、そのおかげで介護が必要なくお元気で暮らせるなんて素晴らしいことですよね?使わない手はありません!
「介護保険」をいつから利用したいのかも含めて、早めの準備をしていきましょう!

3:「自宅環境」を確認する

「在宅介護」やご両親の高齢化に合わせて、自宅をバリアフリーにリフォームするという方も多く聞きますね。具体的には「手すり・スロープをつける」「玄関の段差をなくす」などがイメージされやすいかと思います。
介護認定の結果が「要支援1」以上であれば、【介護(予防)住宅改修費の支給】が受けられます。
上限は20万円まで。一旦利用者が改修費全額を支払い、領収書などの書類を役所に申請すると、後日9割が戻ってくるというシステムです。つまり「1割負担」でご自宅のリフォームができます。
介護がしやすい住宅になることで、介護疲れやストレスなどの負担が軽くなるのでぜひ検討してください。

生活空間の位置を考える

ご両親の生活空間として理想的なのは、「トイレが近い」「階段を利用する必要がない」という場所です。でもそれが難しいこともありますよね?
そんな場合でもできることは、トイレへ行く導線に、足先が引っかかるような家具や荷物があれば片付けておくこと、壁掛けの額縁などを取っておくことが大切です!よろけた拍子に頭をぶつけたり、落下するものは特に危険ですので、花瓶や置物などの位置を考えて移動しておくと良いと思います。
何しろ、排せつ介助が一番身体的負担がかかるので、できる限り広く取っておくとそれだけで、トイレへの誘導もはかどります!

4:早い段階から「資金準備」をする

慌てるのが「お金」の問題です!
「在宅介護」の準備で特に今からでもできるのは「資金準備」についてです。
「在宅介護」も「施設利用」での介護も、どちらも資金が必要となります。毎月定期的な支払いをするとなってから慌てないためにも、預貯金や、年金の有無を確認しておく必要があります。
「親にお金のことを聞くのは気が引ける」かもしれませんね。
でも高齢者になれば、いつ介護が必要になってもおかしくはありません。
その時に金銭的な余裕を持つことが、介護をこれから始める側にとっては「心の余裕」にも繋がります。

通帳と印鑑のありかは?

2か月に1度振り込まれている年金はどの口座に入るか、通帳や印鑑のありかがわからず、いろいろな所を探し回り…冷凍庫のジップロックの中から出てきたときは「そうきたか」と笑ってしまいました!
大切な通帳・印鑑の管理はもちろん、医療保険加入の有無、公共料金や、税金の未納が無いかもチェックしてください。

5:普段から老後について話し合う

「在宅介護」は、する側もされる側も「ストレス・肉体的疲労」が蓄積されていきます。
そのせいで、親子でも、夫婦でも関係が悪くなり、ケンカになってしまうことが多々あります!最終的にはそのケンカが発端で介護施設に入所するという方も多いと聞きます。
ケンカ腰の介護にならないために、ご両親や夫婦の間で、「どんな老後を送りたいか」について話してみる機会をぜひ持ってください。
その中で、「まだ必要ないと思うけど支援サービスというのがあるよ」「ここを整理整頓しておこうよ」というように話を出しておくと、実際に検討に入る時にスムーズかと思います。

まとめ

一緒に片付けをしながら思い出話をしたり、聞いたり、ということがとても大切です。
うちの場合は、たとえ‟片付けは必要ない、触らないで、このままで良い”と言われても、「ハウスダストは体に悪いとニュースで特集していたからホコリを取りましょう」と言ってハンディ掃除機や、ハンディワイパーを渡すと効果的でした。使いやすい機能的な掃除用具を渡すと、本能で機械的に動いてくれるので「私は物をどける係」に徹してどんどん整理できました。
※「ニュースで言っていた」というのが結構効きますよ!
また、思い出話を聞いてあげる事で、こちらの話も出しやすい雰囲気を作れましたし、「アルバムを探そう」という気持ちになり押し入れの整理までこぎつけ、必要書類や、封筒に入った現金も見つけることができました!

あなたもじっくりと思い出話を聞きながらのお掃除から介護準備を始めてみませんか?
そうして保険証や大事な書類をまとめるのを手伝っているうちに、心が通じ合ったり、心が広くなったりして、老後の考え方や、介護に関わる家族の話が、だいたいできてしまうようであれば大成功ですね!
応援しています!

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